Grammatica+  上級へのイタリア語

[第18回]何のche?/ワクチンに忍び寄るマフィアの影②

マフィアがワクチン接種・流通に商機をうかがっているというニュースの第2回。下線の箇所はどういう意味でしょうか。

Ma non è solo la sanità ad interessare le grandi organizzazioni criminali. Un altro dei settori più a rischio in questa fase – e la Toscana ne è un esempio – riguarda il turismo, “che risente in modo particolare della pandemia” e quindi registra “un aumento del rischio di infiltrazione criminale e mafiosa vista la inevitabile debolezza economica” e il pericolo che dietro a questa fase trovino spazio “usura e riciclaggio mediante acquisizione di attività”, ma anche “infiltrazioni criminali nelle proteste che mirano ad assumere informazioni su chi è in difficoltà”.

AGI, 19 gennaio 2021)

その巨大犯罪組織の興味を引いているのは衛生界隈だけではない。現段階で最も脅威にさらされているもう一つの部門は—トスカーナもその例外ではない—観光業だ。観光業は「とりわけ大きくパンデミックのあおりを受け」、その結果、「経済的ダメージは避けがたく、犯罪組織・マフィア組織がつけ入るリスクの増加」や、[      ]という危険、さらには、困窮者に関する情報入手を目的とした、抗議運動への犯罪的介入があると報告されている。

長いので該当箇所のみ取り出します。難しいので語注も付けます。

il pericolo che dietro a questa fase trovino spazio “usura e riciclaggio mediante acquisizione di attività”

[語注]trovare spazio: 余地を見つける≒起こる余地がある/usura: 暴利、高利貸/riciclaggio: (不法に得た金を)流通させること、資金洗浄/mediante: ~によって、~を介して/attività: 事業

 

うーん、複雑な構文です。

文の構造がうまく把握できないのに加え、trovareが接続法になっている理由も難しいです。第11回で学んだ「修飾する名詞が特定されていないこと」を表すものなのかな。解説をお願いします!

 

名詞修飾の多様さですね

まず、このcheで始まる節がil pericoloを修飾して「どんな危険か」を示しているのは間違いないですよね(il pericolo自体は、そのちょっと前にある動詞registrareの三つある直接目的語の一つですね)。でもよくよく見てみると、このche節は第11回第8回で扱ったような関係詞節とはちょっと性質が違いそうです。第11回で挙げた例文の一つを見てみましょう。

Cerco un’interprete che conosce bene cinese e coreano.
「韓国語と中国語が堪能な通訳を探している。」

この文に埋め込まれた関係詞節が修飾する名詞(先行詞antecedente)は、主節の動詞cercareの直接目的語であると同時に、関係詞節の動詞conoscereの主語ですよね。先行詞は主語以外にも関係詞節の動詞の直接目的語だったり間接目的語だったりしますが、いずれの場合にも主節と従属節双方の動詞に関連して同時に役割を持っていることがその特徴だと言えそうですね。これに対して、今回の従属節を見てみてください。先行詞il pericoloは主節の動詞registrareの直接目的語ですが、従属節の動詞trovareに関連してどんな役割も持っていませんよね。

これがなんなのか理解するために、まず、名詞とその修飾について考えてみます。名詞はそれ単体で用いられる他に、形容詞だとか関係詞節といった要素を伴って長い名詞になることができますよね。どういうことかというと、ombrello「傘」もombrello bianco「白い傘」もombrello bianco che si illumina「光る白い傘」も、すべて文の中ではひとかたまりの名詞として振る舞います。これらはすべて名詞(ombrello)を中心として一定の規則を持ったまとまりで、要するにそれ自体が構造を持っています。名詞を中心とした構造なので、名詞句(sintagma nominale)ですね。

こう見るとわかるように、名詞句は「名詞+形容詞」であったり「名詞+関係詞節」であったり、様々な構造を持つことができます。そして名詞句の構造は、動詞を中心としたもの(動詞句sintagma verbale)と同じように、主語や直接目的語にあたるものを持っていることがあるのです。具体例を見たほうがわかりやすいと思います。

Ho deciso di partire.
(私は)出発することに決めた。

La decisione di partire (Salvi & Vanelli 2004: 166)
出発することの決定

一つ目の文では、diによって導入されている不定詞partireが動詞decidereの直接目的語になっていますね。これに対して、二つ目の名詞句ではdecidereと意味・語源的に強く関連する名詞decisioneを同じdi partireが修飾しています。こうして並べて比べてみると、もちろん細かい違いは色々ありますが、ある意味ではdi partireは名詞decisioneの直接目的語ですよね。このように、名詞句は限りなく動詞句っぽい構造をとることがあるのです。

ここまでくるとだいたい予想がつくと思うのですが、動詞句っぽい構造をとるということは、動詞と同じようにcheを使った従属節を伴うことができるということですね。ちなみにこういう動詞句っぽい名詞句を作るのは主に動詞から派生した名詞(decidere/decisioneの他に、desiderare/desiderio「望む/願望」やringraziare/ringraziamento「感謝する/感謝」など)ですが、特にcheを伴うものはそうでないものも結構あります。今回出てきたpericoloの他には、il fatto che〜「〜という事実」l’idea che〜「〜というアイデア」などをよく見かけますね。

ちなみに、こう考えると接続法が使われている理由もわかります。動詞+cheでできている文では、che以下の従属節で接続法が使われるかどうかは動詞の性質によって決まりますよね。penso che〜「〜と思う」みたいな話し手の主観を表す表現の後には、接続法が使われます。全く同じことが、名詞句の場合にも起こるわけですね。「〜という危険」というのは、その性質上起こるかどうかわからないことで、典型的な必ずしも現実と一致しない内容ですよね。そのために、接続法が使われるわけですね。

ちなみに今回取り上げた段落の構造はこんなふうになっています。

[主節の主語 Un altro dei settori più a rischio in questa fase – e la Toscana ne è un esempio –] [主節の動詞riguarda] [主節の直接目的語il turismo], [以下、turismoを修飾する関係詞節che [関係詞節の動詞1risente] [risenteを修飾する副詞とか影響の原因とかin modo particolare della pandemia] e quindi [関係詞節の動詞2registra] [registraの直接目的語un aumento del rischio di infiltrazione criminale e mafiosa vista la inevitabile debolezza economica] e [registraの直接目的語il pericolo che dietro a questa fase trovino spazio usura e riciclaggio mediante acquisizione di attività,] ma anche [registraの直接目的語infiltrazioni criminali nelle proteste che mirano ad assumere informazioni su chi è in difficoltà.]]

こちらから画像も見られます

その巨大犯罪組織の興味を引いているのは衛生界隈だけではない。現段階で最も脅威にさらされているもう一つの部門は—トスカーナもその例外ではない—観光業だ。観光業は「とりわけ大きくパンデミックのあおりを受け」、その結果、「経済的ダメージは避けがたく、犯罪組織・マフィア組織がつけ入るリスクの増加」や、こうした状況の影で暴利や事業の買い取り(取得)を通した資金洗浄といった行為が発生しうるという危険性、さらには、困窮者に関する情報入手を目的とした、抗議運動への犯罪的介入があると報告されている。

 

[+α]イタリア・マフィアを描いた傑作ドラマ『コルレオーネ』

前回はイタリア・マフィアを理解するための書籍として『シチリア・マフィアの世界』をご紹介しましたが、今回はドラマを紹介します!……と書いていった結果、勢い余って本編をはるかに上回る分量になってしまったので、ページを改め、「番外編」としてまとめました。興味のある方は下からどうぞ!

【番外編】イタリア・マフィアを描いた傑作ドラマ『コルレオーネ』

 

 

元記事:Le mani della mafia sui vaccini

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