Grammatica+  上級へのイタリア語

[第33回]絶対分詞構文/「最高峰ではないが平均レベルは高い」イタリアの大学②

前回に引き続きイタリアの大学がテーマです。世界規模で見たとき、イタリアの大学にはトップ100に入るものはないが、上位500、1000という単位で見ると世界で最も高い水準を誇る、という話でした。

Come già nell’edizione precedente, la ricerca ribadisce come i parametri utilizzati dai principali ranking internazionali soffrano di problemi metodologici che penalizzano la realtà italiana perché valutano le singole università e non il sistema universitario nel suo complesso. Risultato tanto più rilevante date  le condizioni a contorno dello scenario internazionale, a partire dalla forte crescita della domanda di istruzione terziaria da parte dei paesi dell’Africa, del vicino Medio Oriente e del Far East.

AGI, 24 febbraio 2021)

前回すでに、その研究は、主要な国際ランキングで使われている指標には、イタリアの現実にはたらく不利な方法論的問題があると主張していた。というのは、それらの指標が評価するのは単体としての大学のみであり、複合的な大学システムは評価の対象とならないからである。国際的背景 ― 例えばアフリカ諸国や中東付近、極東などで、高等(大学)教育の需要が大きく伸びていることなど ― を取り巻く現況を考えればより一層重要な結果である。

 

「~であるということを考慮すると」のdatoですよね

分詞構文ですよね。分詞構文も「雰囲気で読めちゃう系」の筆頭なので読んでいく上ではさほど問題にならない(むしろその直前のRisultato tanto più rilevanteみたいな「名詞句ポン」がマジでむずい)のですが、じゃあ自分で使いこなせるかとなるとハードルが一気に上がります。どの辺から攻めていけばいいのかすらよくわかりませんが、教えてくださーい(何を教えてほしいかすらよくわかっていない)!

 

絶対分詞構文

イタリア語ではparticipio assolutoといって、用語のカッコよさに(僕の中で)定評があるやつです。といっても、これは分詞構文の中でもかなり特殊な部類のものなので、どういう枠組みの中で捉えたらいいのかから検討してみたいと思います。

まず、分詞構文は全部そうですが、これって従属節の一種ですよね。主節が名詞句ポンしてきていてやめてよって感じなのですが、とりあえずessereが省略されていると考えることにします。そうすると、動詞essereを中心とした主節の要素の一つが、それ自体動詞dareを中心としたまとまり、すなわち従属節でできているわけです。

第8回でも述べたように、従属節を作る動詞は定法(modi finiti)、すなわちdannoとかdarebbeみたいにいわゆる活用をしている形である必要はなく、今回のように過去分詞であることもあります。他の不定法の動詞、すなわち不定詞(dare)やジェルンディオ(dando)、現在分詞(dante)も同様に従属節を作ることができますね。もちろん、動詞の法によって従属節の性質も変わります。こう考えると「分詞構文」というのは、そういうくくりをイタリア語に関して作る必要があるかはともかく、現在分詞または過去分詞を使った従属節のことですね。

さて、今回のように過去分詞を使った従属節は、主節の中で持っている役割によって大きく二つのグループに分けることができます。まず一つ目は主節にある名詞を修飾するもので、実質的には関係詞節と同じものですね。例文を見ておきます。かっこでくくった部分が過去分詞を使った従属節ですね。

L’uomo politico [espulso ieri dal suo partito] si era opposto alla costruzione della diga. (Salvi & Vanelli 2004: 247)
[昨日党から追放された]政治家の男は、ダムの建設に反対していた。

二つ目は名詞を修飾するのではなく、主節の動詞に対して非中核的な要素を付け加える従属節です。こうした従属節の持つ役割は理由であったり譲歩であったり色々で、いわゆる「副詞節」と呼ばれるものですね。このタイプの過去分詞節はさらに二種類に分けられて、まず実質的には名詞を修飾するものと同じ性質を示すものです。

[Arrivata in ritardo], Maria non fu ricevuta. (Salvi & Vanelli 2004: 248)
[遅れてきたので]、マリアは入れてもらえなかった。

そしてもう一つのタイプが、今回の絶対分詞構文ですね。絶対分詞構文の意味上の特徴は、常に主節より前の出来事を表すことです。今回の文で使われているdatoの構文は決まった表現という側面が強いのでわかりにくいですが、condizioni以下が「与えられた」のは「重要な結果である」ということの前提であって、したがってやはり主節より前のことですね。

 

[+α]イタリア大学院博士課程留学について

せっかく「イタリアの大学」がテーマなので留学体験でも少しだけ書いてみようかなと思います。僕は学部・修士・博士でそれぞれイタリアに留学したのですが、特にイタリアの大学で博士課程に在籍したことのある人は少ないと思うので、何かの参考になれば。ちなみに博士課程ではほぼ丸4年間イタリアにいました(博士課程ってそもそも3年じゃないの?などと言ってはいけない)。

博士課程の学生としてイタリアに留学して一番ギャップに感じたのは、日本で僕がいた環境と違って「学生」ではなく「研究者」として扱われることですね。そもそも僕が博士課程に入っても学生気分でふわふわ勉強してるタイプだったのと、イタリア語学を含む地域研究って現地の人間がやるのと外の人間がやるのとでは意味が違っていて、求められるレベルも違う(と僕は思っていた)のもあって、ある種お客様気分で留学したんですよね。そしたら院生も教員も研究仲間みたいな雰囲気がはっきりとあって、自分の専門については教員に対して教えるくらいのことが求められました。やっていることの関係上周りは全員イタリア人なわけで、最初は単純にイタリア語の運用能力の問題もあって相当しんどかったです。

これは割と象徴的だと思うんですけど、僕の留学先は博士課程に入ると院生と教員の間でもtuで呼び合うんですよね。他にこんなことやってる大学は多分ないので、おそらく教員が全体的に若かったのが関係してるんだと思います。とにかく、「イタリア語のできる日本人学生」ではなく「イタリア語の研究者」だという自負とそれに見合うだけの知識を身に付けられたのは、こういう環境にいたことが大きいと自分では思っています。大学院留学はいいぞ!(土肥)

 

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