Race Week(F1×English)

ハミルトンのphysio(フィジオ)の話/charge/earn A B

ハミルトンの「フィジオ」であるアンジェラ・カレンにフォーカスを当てたF1公式サイトの記事。

・「結局フィジオって何なの?」

・初めて見るchargeの用法

・SVOOの文型をとるearn

さっそく記事からの引用。リードに当たる部分。

Across a race weekend, physiotherapist Angela Cullen is a near-constant presence at the side of her charge Lewis Hamilton―a fact which has even earned her cult status among some F1 fans.

(F1.com, November 10, 2020)

[訳]レースの週末を通じて、physiotherapistのアンジェラ・カレンは彼女がサポートするルイス・ハミルトンのそばにほぼいつもいる。それによって彼女は一部のF1ファンからカルト的人気を誇っている。

かれこれ英語を二十年くらい学び続けているわけですが、いつになったってネイティブスピーカーのように外国語を使いこなすのは無理だよなあと思わせてくれるような一文。というのも、Angela Cullen is a near-constant presence at the side of…なんて言い方は絶対出てこないし、逆に、ぎこちないようにさえ思えてしまう(勿論実際には自然なのだろうけれど)。もしかして名詞句をぽんぽんと並べていくのが「リード文」という性質に合っているのかな。

それはさておき「フィジオ」について。physioはphysiotherapistの短縮形で、日本語だと「理学療法士」なのだけれど、日本語でも「フィジオ」と言えば一般的にスポーツ界で使われる用語というイメージがあって、選手へのトレーニング指導・補助、ごく簡単な治療行為、マッサージ、さらには精神面のサポートをするプロフェッショナル、という感じだろうか。

続いてはher charge Lewis Hamiltonのcharge。ここではher charge=Lewis Hamiltonだから、ハミルトンを表す語であるということがヒントになる。辞書を引いてみた限り、以下の意味に相当するのだろう。

charge

預かり物、受託物;託された人《医師の受け持つ患者、子守の預かる子供など》

(『新英和大辞典』研究社)

chargeは典型的な多義語で、F1ではVerstappen is charging Bottas.(フェルスタッペンがボッタスを猛追している)といった動詞の形でもよく使われるが、正直、今回の用法のような意味があるのは全く知らなかった。

あとはearn。earnは〈earn A B〉で「(何らかの行為などがAにB(名声・評判など)をもたらす」「AがB(名声・評判など)を博する、得る」の意味。これはよく使われますね。だからここはearned (her) (cult status)であって、earned (her cult status)ではない(はず)。

11月15日のトルコGPでついに7度目のWCを達成したハミルトンですが、興奮冷めやらぬ中、マシンから降りて真っ先に抱き着きにいったのは、やっぱりこのアンジェラ・カレンさんでしたね。

(November 27, 2020)

こちらの記事もおすすめ