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[第63回]仮定法のバリエーション/ゲームは体にいい!?②

前回に引き続き、ゲームが健康によいとする研究結果のニュースを読んでいきます。

Se confermato da peer review, lo studio condotto da Stakester permetterebbe di non considerare più i videogiochi nemici di uno stile di vita sano […].

Corriere della Sera, 5 settembre 2021)

査読による確認が取れれば、ステイクスター社のこの研究によって、テレビゲームはもはや健康的なライフスタイルの敵と見なされることがなくなるかもしれない。

 

マーカーを引いた条件節、動詞が省略されていますね。こういうのはよくあることですか?

 

仮定法のバリエーションですね

第47回で仮定法を扱った時に見た通り、仮定文periodo ipotetico条件節protasi帰結節apodosiで出来ていて、可能性が高いか低いかによってそれぞれで使われる動詞の形が変わるのが基本ルールでした。

といっても、「〜なら、〜だ」みたいな意味を表す手段はこうしたものだけではありませんよね。例えば、単に条件法を使った次のような文も、ある種の仮定文のように解釈されます。これはつまり、「種々の条件が許せば」みたいな一般的な(あるいは、文脈から簡単に類推できる)条件節が明示的に出てこず、帰結節だけで構成される文として解釈されるということですね。

Vorrei partire subito. (Salvi & Vanelli 2004: 120)
すぐ出発したいんだけど。

こうして考えると、第47回で扱ったようなフル装備の仮定文は単に最も典型的なものというだけで、実際には仮定文は様々なやり方で表されるわけですね。今回の文のように定動詞が省略されているものは、こうした仮定文のバリエーションの一種であると言えそうですね。

ちなみに第47回で仮定文には二種類しかないということを見ましたが、二種類のどちらなのかは条件節と帰結節のどちらかだけを見ればわかるんですよね。これは、条件節と帰結節のどちらも直説法か、条件節が接続法で帰結節が条件法になっているかだからですね。今回の文ではさらに、条件節が受け身の形になっていて、定動詞になっているのは助動詞です。したがって、この動詞が大した情報を持っていないことも省略されている一因になっていそうですね。同じように省略された仮定文として分析できそうなものに、例えば次のように条件節がseすらなしの過去分詞で出来ている文があります。

Detto così, potrebbe suonare offensivo.
こういう言い方だと、感じ悪く聞こえるかもしれないな。(Salvi & Vanelli 2004: 278)

ちなみに、条件節ではなく帰結節が省略されるケースというのもあったりします。

Se ti avessi ascoltato!
君の言うことを聞いていればなあ!

条件節と帰結節というのは当然、ある内容とそれが実現した場合に実現する内容との組み合わせなですよね。このとき、条件と帰結の両方が特定の内容である場合もあれば、条件のほうの内容がコミュニケーション上の理由で重要でない場合も、また逆に帰結が重要でないケースもあります。「重要でない」というのは、文脈から簡単にわかることであったり、一つの内容に特定できない一般的な条件ないし帰結だったりするということですね。重要でない内容は仮定文に限らずふつうは省略できることを考えると、今回の文のような仮定文が現れるのは条件と帰結の関係性が多様であることと関連していると同時に、仮定文の性質であると言うよりは言葉が持つ一般的な性質の反映に過ぎないと言うこともできそうです

 

 

[+α]書くことが全く思いつかなかった記念すべき異色回

(通常よりフォントサイズを小さくしてお届けしております)前回と今回とで「ゲーム」がテーマの記事を取り上げ、前回は土肥くんが「イタリアとテレビゲーム」という題でこのコラムコーナーをうまくまとめてくれたのですが、私(田中)、ゲームのことはほんとにわからないんですよね……。約4年前、長女が生まれる前に、妻と一緒にやろうと「スーパーファミコンミニ」を買い、「パネルでポン」というパズルゲームだけを3年以上ひたすらやりこみ(素晴らしいゲームですよね、パネポン)、今はそのスーパーファミコンミニすら義母に貸してしまって手元にゲーム機が何もない(スマホゲームはやったことがない)のです。

仕方がないから、ゲームとイタリアと言えばまずは「マリオ」と「ルイージ」がイタリア人の名前ということが思いつくけど、だから何?って話だし、この話を辿っていくと、どちらかと言えば「アメリカにおけるイタリア移民」みたいな話になっちゃいそうだし、ああそうだ、Mario Draghi首相って「スーパーマリオ」って異名を持つよね、でもそれも「で?」って話だし……。結局、「マリオ ルイージ イタリア」とかいうしょうもないキーワードでググって「ルイージの死の凝視」というのを初めて知って一人で大笑いしたあたりで今回の「+α」を書くことは断念しました。(田中)

 

 

Image by Olya Adamovich from Pixabay

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